ハウスメーカーや建設会社に依頼するのと違い施工から独立した設計事務所でなければできないことがあります。
設計事務所に依頼するメリットをいくつかあげてみますので依頼先を迷っている方は参考にしてください。
ハウスメーカーや建設会社などどこに依頼した場合でも必ず設計図が必要でそこには設計者が存在しています。
私たち設計事務所が設計図を作るとあたりまえのようにかなり多くの枚数になります。(標準的な木造2階建ての住宅でA3の図面が50~70枚ぐらいになります)
私は暑い中、寒い中、ほこりまう中、現場で働く職人さんのことを考えると要点をわかりやすくまとめてできるだけ枚数を減らしたいと思っているのですが、意図した建築をつくろうとするとどうしてもそれぐらい必要になってしまいます。
一方、ハウスメーカーや建設会社の場合は両手で(場合によっては片手で)数えられる程度の図面で家をつくっているところが多いように感じます。
ある程度標準化されているからそれでも大丈夫なのかもしれませんが、それではこだわった家はできないように思います。(そういうところが、「あなたのこだわりを形に!」とか「完全自由設計の家!」とか謳っているのはちょっと違うように思います。)
ということで、設計事務所に依頼すると
設計事務所のノウハウがつまった図面(=ちゃんとした図面)がつくるのに必要なだけ(=ちゃんと)あるのです。
くりかえしますが、ハウスメーカーや建設会社などどこに依頼した場合でも必ず設計図が必要でそこには設計者が存在しています。
その場合の設計者はその会社の社員であったり会社から外注された人であったりします。
あたりまえのことですが、その設計者はその会社の標準的な設計と違うことはできないし、見積りに口をはさむようなことはないし、仮に現場で不具合があってもそれを指摘することはできません。(その前に現場にはほとんど行かないと思いますが)そんなことしたら首になっちゃいます。
設計事務所に依頼された場合は、施工から独立した第三者(施主さんの代弁者)として、見積書の内容や契約条件のチェック、工事に手抜きはないかなどのチェックをしっかりすることができます。
もちろん施工者さんは一緒によい建築をつくるパートナーですのでやみくもに怒ったりはしませんが、間違ったことをすればビシッと言うことができます。
つまり、いいかげんな対応 ではなく 良い加減な対応 ができるのです。
ハウスメーカーや大きな建設会社では、、、
・たいへん多くの優秀(←あくまで営業に関してです)な営業マン(結構、高給取りみたいです)が働いています。
・テレビのゴールデンタイムに人気女優なんかを起用して大々的にCMをうっています。
・新聞をひろげると毎日のように広告が入ってます。(時には一面全部が広告ということもあります)
・住宅展示場へいくと立派なモデルハウスが建っていて、ニコニコした美人のお姉さんが迎えてくれますし、時には仮面○イダーやあ○ぱんまんなんかとも遊べます。
これらにかかる費用は莫大なものになりますが、すべて工事費の中に含まれています。
依頼しなかった人はもちろんただなのですが、依頼した人はその分も払っているのです。
しかも、
これらの費用は会社が仕事をとるために使われるもので、決して家を造るために使われるものではない
ということを理解しないといけません。(←ここポイントです!)
一方、設計事務所が広告などに使う費用は微々たるものですからほとんどが家を造るために使われると考えてよいと思います。
実際、私の事務所の宣伝とか営業はこのHPぐらいでほとんどお金を使っていませんし、発注する建設会社もそれほど規模の大きくないところに頼むことがほとんどなので同様だと思います。
というわけで、私たちのほうが純粋に家づくりにかけるお金が多くお得なのです。
設計事務所に頼むと設計料がかかるので高くなると思われている方がいると思いますが、私は金額の面でいえばあまりかわらないのではないかと思っています。
よく言われていることですが、実は、建築工事費の中でもっとも大きくかわってくるのは“経費”というものです。
(いいかえればその会社の儲けと考えていいと思います)
非常にざっくりいうと、建築工事費は実際つくるのにかかる原価に経費を足したものになり、一般的には、
ハウスメーカーなどの場合
建築工事費=原価+経費(原価の25~30%程度)
設計事務所が建設会社に依頼した場合
建築工事費=原価+経費(原価の10~15%程度)
これに設計料10%程度を加えてもおなじくらいになる。
なぜ設計事務所が依頼するところは経費が少ないかというと・・・ そういうところにしか頼まないからです ^^;
大きな会社は大量仕入れで建材などが安く入るとか職人さんを安く使えるとかいわれます。
これはおそらくそのとおりなのでしょうが、建材を安くというのはまだしも実際に家をつくる職人さんを安く使うのは品質に直接影響が出ると思います。(誰しもそれぞれの生活がかかっているので利益の少ない仕事は不本意ながら手を抜くことはありうると思います。)そして、そこで安くなった分よりはるかに多くの経費がプラスされていると思います。
この比較は、もともとの設計内容や仕様が違うので一概には言えないところがありますがひとつの指標にはなると思います。
長いこと仕事をしているとお客さんがすでにハウスメーカーなどから見積りをとっているケースがよくあります。
中身をみせてもらうと、建築工事費□□□万/坪と書かれていて、これが結構安く表現されています。
が、その他にいろいろな名目で多くの金額が計上されていて(中には私がみてもよくわからないような項目があることがあります)それらを合計すると私たちが通常設定する金額よりも大きくなることが結構あります。
すべてがそうだとは言いませんが、名のとおったハウスメーカーでまあまあの建物であればおおむねそうなります。
逆に、それでも安いものにはそれなりの“理由”があるとお考えください。
誰しも一生懸命仕事して稼いだお金ですから何に対してお金を払うのかしっかり知りたいですよね。
設計事務所の場合、「ちゃんとした図面」があって見積りチェックなど「良い加減な対応」をしますのでしっかりした見積もりができて何に対してお金を払うのかしっかりわかります。